もりもり君098【年休】

中川　こんにちは。

社長　こんにちは。
Ａさんが痴漢行為で逮捕されました。

中川　それは大変ですね。
いつ痴漢をしたのですか？

社長　当日の朝、何の連絡もなく出勤してこなったので、上司や同僚が電話をしてもつながらないのです。それで自宅に電話をしたところ、奥さんが痴漢で警察に逮捕されたらしいというのです。

中川　そうですか。

社長　奥さんは、夫が痴漢するはずがないので、誤認逮捕だと言うのです。

中川　御社としては確認のしようがありませんね。

社長　そうです。
事実関係がはっきりするまでは、様子をみようと思います。

中川　そうですね。

社長　奥さんから、会社を休んでいる間は年休で扱って欲しいと言われました。犯罪者に年休を与えるのはどうかと思いますが…。

中川　あのう、まだ犯罪者と確定したわけではありませんよ。

社長　それはそうですが、逮捕されています。年休の申請をされても与えたくありませんね。

中川　感情は抜きで考えましょう。
御社の就業規則には、年休は3日前に申請することとあります。したがって、当日は無断欠勤ですから、年休を与える必要はありません。

社長　しかし、奥さんが年休扱いにして欲しいと言っています。

中川　年休は奥さんが申請するものではありません。本人の申請で付与するものです。

社長　でも、逮捕されたら年休の申請はできませんよね。

中川　そうですね。
ひょっとしたら弁護士から年休の申請手続きをしてくるかもしれません。

社長　もし、弁護士が年休を申請したら年休を与えなければならないのですか？

中川　与える義務があります。

社長　しかし、痴漢で逮捕されているのですよ。

中川　痴漢が事実かどうかは問題ではありません。極端な話、殺人で逮捕されたとしても、年休の申請があれば付与する義務があります。

社長　分かりました。
Ａさんが誤認逮捕であることを願っています。