支給日に在籍していない場合
社長 こんにちは。
Aさんが6月末で退職する社員が賞与ももらいたいと言うのです。
中川 はい、それで?
社長 賞与は毎年7月と12月に支給しています。7月の賞与は10月から3月の半年分を査定して支給しています。
それでAさんは10月から3月まで賞与査定期間の半年在籍するのだから賞与をもらう権利があるというのです。
中川 そうですか。
社長はどう思います。
社長 夏の賞与はまだいくら払うか決めていません。
そもそも勝手に退職するのに賞与をくれというのは不愉快です。法的には払う義務があるのですか?
中川 就業規則や賃金規程にどう書いてあるかによります。
社長 へえ、労働基準法ではどうなっているのですか?
中川 賞与については何も記載がありません。
したがって、賞与を支給するかどうか、支給する場合の支給基準をどうするかは会社が自由に決められます。
社長 そうですか。
中川 ただし、賞与を毎年7月と12月に払うと賃金規程などに書いた場合は賞与の支払義務が生じます。賞与は会社の業績の応じて払うものです。
たとえば赤字であれば賞与は支給できないでしょう。そのような場合は支給しないと書いておく必要があります。
社長 書いていない場合はどうなるのですか?
中川 赤字でも賞与を支給しなければなりません。
社長 それは困りますね。
中川 そうですね。
そうなったら困りますので賃金規程には賞与は会社業績などにより支給しないこともあると明記しておくことです。
社長 なるほど。
でも、当社は今のところ賞与を払える状態です。であれば、Aさんの賞与は払わなければなりませんか?
中川 そうですね。
賃金規程(あるいは就業規則)に支給当日在籍していなければ払わないと明記されていればOKです。
社長 そうですか。
当社の賃金規程や就業規則には当日在籍していることが条件と明記されていません。払わなければなりませんか?
中川 それは微妙ですね。
今まではどうしていましたか?
社長 賞与支給日に在籍していない場合は払っていません。Aさんに言われるまでは思いもつきませんでした。
中川 そうですか。
賞与の支給基準は会社で自由に決められますのでそれでOKです。
しかし、今回のような主張をされる可能性が今後もあります。賃金規程に明記しておきましょう。
社長 Aさんにはどのように話したら良いですか?
中川 率直に話すことです。
社長 わかりました。
賞与については次のような記載をするといいでしょう。
第○○条(賞与)
賞与は会社の営業成績に応じ、従業員の勤務成績に基づいて毎年、夏季および年末に支給します。
2、 賞与の支給日は夏季は7月 、年末は12月とします。
3、 ただし、会社の業績が悪化した場合は、支給できないこともあります。
4、賞与は支給日に在籍し、支給算定期間を満勤した者に限り支給します。
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