労働条件を上げて欲しいと言われた
社長 こんにちは。
次から次へと法律が変わり、その対応に振り回されています。
中川 同感です。社会保険労務士ですから、専門家のつもりです。
しかし、質問をされてもとっさには答えられないことが増えました。
社長 このたび、就業規則の見直しをしました。これは労働基準監督署に届出なければなりません。
中川 そうですね。
社長 困ったことになりました。
中川 何を困っているのですか?
社長 就業規則は従業員代表の意見を聞かなければなりません。今度選挙で選ばれたのはAさんです。
それで、Aさんに新しい就業規則を見せて、意見を聞きました。
中川 はい。
社長 Aさんがたくさんの意見を出してきました。
中川 どんなことですか?
社長 A4用紙一枚にびっしりです。びっくりしました。
Aさんは以前は大手企業で働いていました。大手企業並みの労働条件をせよとのことです。
たとえば、休日日数は年間124日にしろと。そのほか、一日の労働時間は7時間にしろと。そのほか、いろいろ。
中川 そうですか。
社長 こんな要望を聞いたら会社は倒産します。
中川 あのう、これは要望というか意見というか。労働組合との団体交渉ではありません。Aさんのこれらは意見です。
社長 意見といいますと?
中川 就業規則に対する意見です。
これらは聞き置けばいいのです。
社長 聞き置くと言いますと?
中川 意見に従う必要はないと言うことです。
社長 そうですか。
しかし、就業規則を労働基準監督署に届け出るには、意見書を添えなければなりません。A4用紙一枚分をそのまま労働基準監督署に提出するのですか?
中川 そうです。
社長 監督署は会社に対して文句を言うのではないですか?
中川 労働基準監督署は労働基準法に違反していれば、それを是正するように勧告します。
しかし、労働基準法に違反していなければそのまま受け付けます。
社長 労働基準法に違反していないとは?
中川 たとえば、年間休日日数は105日(詳細略)が原則となります。年間休日が100日であれば労働基準法違反です。
しかし、124日は法律を上回っています。それに従う必要はありません。
社長 では一日の労働時間もそうですか?
中川 労働基準法では一日8時間以上働かせてはいけない(例外あり 略)となっています。
したがって、8時間は違法ではありません。意見として出されている7時間は、単なる意見です。その意見に応じるかどうかは経営者のご判断です。
社長 そうですか。ほっとしました。
では、このまま労働基準監督署に提出します。
中川 はい。
就業規則を改定した場合、労働基準監督署に意見書を添えて
提出しなければなりません。
意見書に従業員の要望が書かれてあっても、労働基準法に違反していない
限りは応じる義務はありません。
ただし、従業員の意見には真摯に検討するのがいいでしょう。
従業員が勇気を絞って意見を言っているのですから。
もりもり君レンタル!
人事労務系4コマ漫画「もりもり君」はレンタルで、社労士さんが発行されるニュースレターやWEBサイトの記事にご利用いただけます。
詳細はお問い合わせフォームからご連絡願います。
4コマ漫画+テキスト
1話 4,000円(税別)
12話以上まとめてレンタル
1話 3,000円(税別)