トラック部門を請負にしたい
社長 こんにちは。
当社は合理化をしたいと考えています。
中川 はい、どんな内容ですか?
社長 配送トラックの運転手は正社員なのです。
しかし、仕事の繁閑が多く、ムダがあるのです。だから、請負に切り替えたいのですが、なにか注意することはありますか?
中川 請負にすると言うことは、独立した事業主となります。
したがって、いったん退職をしてもらうことになります。
社長 そうですね。
退職については納得すると思います。
中川 で、運転手は会社の専属となりますか?
社長 たぶん、そうなるでしょうね。
中川 運賃の支払いはどうしますか?
社長 これは話し合いです。
中川 トラックはどうしますか?
社長 うちのトラックに乗ってもらいます。
中川 燃料代は?
社長 うちのトラックですから、当然会社持ちです。
中川 では、いままでと仕事の内容は変わりがないのですか?
社長 そうです。
変わるのは、いままで給料を払っていましたが、請負ですからやった仕事だけに運賃として払います。
中川 実質的にはいままでの給料より下がるのでは?
社長 がんばっている人には今までより稼げるような運賃にします。
そうでない人は減収になることもあるでしょうね。本人次第です。
給料だとイヤな仕事は人に押しつける傾向にありましたので、請負にすれば積極的に仕事をするだろうと思っています。
中川 社長の気持ちはよく分かります。
しかし、今の社長のやり方は請負に名を借りた偽装請負となります。
社長 へえ。
どうしてですか。
いい考えだと思ったのですが。
中川 トラックの燃料も会社負担であれば、単に運転業務をしているだけですよね。
社長の会社でしか稼げないのです。
たとえば、一匹オオカミ的なトラックの運転手は、トラックも燃料代も修理代もすべて自分が持ちます。
社長 そう言われたらそうですね。
中川 もし、仕事の依頼があってもいやなら断ることもできます。
それが請負というものです。
社長 ふーん、今のままで請負は無理ですね。
請負とは雇用関係がなくサービスの提供をすることです。
たとえば、増改築をする場合は施主との雇用関係がありません。
労災保険、給料などはすべて請負会社で対応します。
今回の事例は、請負に名を借りていますが、実質的には労働者性が濃厚です。
その場合は、請負と認められない可能性があります。
今回の場合であれば、運送会社に請け負わせ、社有トラックは売却することが考えられます。
トラックに乗っていた従業員は転籍が考えられます。
ただし、転籍はトラブル可能性がありますので慎重にしましょう。
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