前職で横領した経理担当者
社長 こんにちは。
A君の経歴詐称(けいれき さしょう)について相談です。
中川 経歴詐称とは穏やかではありませんね。どうしたのですか?
社長 前職で会社のお金を横領して諭旨解雇となっていることが分かりました。
中川 そうですか。
採用面接のときに前の会社の退職理由を聞きましたか?
社長 もちろん、聞きました。
上司との人間関係でいやになったからと言っていました。
それはありうると思い、それ以上突っ込んだ質問をしませんでした。
中川 履歴書には金銭横領について何か触れていますか?
社長 履歴書にはただ、退職したとしか書いてありません。
中川 ふーん。
で、相談はどのようなことですか?
社長 会社のお金を横領したことが分かっていれば採用していません。
それが分かった以上、辞めてもらいたいのです。辞めてもらうことができますか?
中川 就業規則を拝見します。
重要な経歴詐称は懲戒解雇をすると書いてありますね。
社長 へえ、書いてあるのですね。
では、それにしたがって懲戒解雇をすることでいいですか?
中川 懲戒解雇でもOKですが、解雇はこじれるとやっかいなことになります。
社長 どうしてやっかいなことになるのですか?あきらかに経歴詐称です。
中川 おっしゃるとおりですからほとんど問題は起きないと思います。
しかし、万が一争われると、事はそう単純にいかなくなります。
社長 どのようなことになりますか?
中川 裁判になるということです。判決がでるまでに長い期間がかかります。
社長 そうなると困りますね。
中川 最悪、懲戒解雇は無効であるという判決がでることもありえます。
社長 そんなことがあるのですか。納得できませんね。
中川 それは中川も同感です。
しかし、弁護士から聞いた話ですが、裁判はやってみないと分からないそうです。私たちの常識では推し量れないことがあるようです。
社長 納得できませんが、で?どうしたらいいですか?
中川 A君に率直に話をして自主的に辞めてもらいましょう。
社長 つまり自己都合退職ということですね?
中川 そうです。
正義感で争うつもりなら懲戒解雇でも良いですが。退職は退職願を提出させ自己都合退職扱いにするのが無難です。
社長 納得できませんが、しょうがないですかね。
経歴詐称は許せないものですが、裁判沙汰になると事はそう単純ではありません。
今回の事例のように経理担当が前職で金銭横領をしていたということを隠すことは重要な経歴詐称となる可能性が高いので裁判沙汰になっても会社が負けることはないと思います。
しかし、裁判はやってみないと分からないとベテラン弁護士も言っています。
腹立たしいでしょうが自己都合退職とするのが無難です。
もりもり君レンタル!
人事労務系4コマ漫画「もりもり君」はレンタルで、社労士さんが発行されるニュースレターやWEBサイトの記事にご利用いただけます。
詳細はお問い合わせフォームからご連絡願います。
4コマ漫画+テキスト
1話 4,000円(税別)
12話以上まとめてレンタル
1話 3,000円(税別)