もりもり君

もりもり君057 【労務管理】

従業員による誹謗中傷の書き込みへの対応

もりもり君第57話
中川 こんにちは。

社長 こんにちは。
Aさんについて相談です。

中川 はい、なんでしょうか?

社長 Aさんが自分のブログに「残業代をもらっていない」「ブラック企業だ」と書き込みをしました。
その対応をどうしたものかと。

中川 残業代を払っていないのは事実ですか?

社長 当社は残業は許可制にしています。Aさんが勝手に残業をしたことがあります。それに対して上司が注意をしたのです。

中川 どんな風にですか?

社長 残業は事前申請をしなければダメだ。今回は残業を認めるが今後は許可をしない残業は残業と認めないと言ったそうです。

中川 それで御社をブラック企業と言うのですね。

社長 決められたルールを守らないで勝手なことを書かれて腹立たしいです。

中川 その書き込みが原因で採用活動に悪影響があるかもしれませんね。

社長 そうですね。

中川 ネットにいったん書かれた情報は取り消しできませんからね。会社で取り得る手段は次の4つですね。

1. 書き込み削除の請求をする

2. Aさんに名誉毀損、信用毀損に基づく損害賠償請求

3. 名誉毀損、信用毀損、業務妨害などによる刑事告訴

4. Aさんへの懲戒処分

社長 えええ。
大げさですね。

中川 そうですね。
今回の書き込みがどの程度会社にとって深刻であるかにもよりますね。

社長 うーん。
残業を払っていないとかブラック企業呼ばわりされるのは許せません。

中川 であれば、削除請求をしたらどうですか。

社長 削除請求では生ぬるいです。
今後も書き込まれる恐れがありますので、ブログを閉鎖してもらいたいです。

中川 Aさんには思想、表現の自由があります。ブログを閉鎖させることはムリです。

社長 該当する箇所だけですか?

中川 はい。
それも事実にないことを書き込んでいることが前提です。もし、残業未払が事実であれば削除させることはできません。

社長 そうですか。

中川 Aさんとじっくり話をしたらどうですか?
残業について日頃の不満がたまっている可能性があります。上司の報告を鵜呑みにしないことです。
事実関係をはっきりさせるのが先決ですね。

社長 わかりました。

中川コメント

ブログ、ツイッター、フェイスブックなど気楽に個人が情報を発信できる時代になりました。ときには行き過ぎた投稿で会社が倒産に追い込まれた事例もありました。今後もありうると考えるべきでしょう。
ある信用金庫は電車内での女子高校生の日常的な会話に尾ひれがついて取り付け騒ぎにまでなりました。事実無根だったのですが。

会社に不利な投稿がされたときは毅然とした対応が必要です。

ただし、会社に不利であっても事実であれば会社が反省しなければなりません。

まずは事実関係を把握して、対応することです。
事実関係をあいまいにして憶測で判断すると手痛い目にあう可能性があります。ただし、事実関係の把握にもたもたして対応が遅れるとそれが非難の対象になる時代です。

企業の不祥事に対して迅速な対応をした会社とそうでない会社で明暗を分けていますね。
中小企業は社長の決断のスピードが大切だと思います。

c中川式賃金研究所 画屋(かくや)

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