退職予定者から夏の賞与をくださいと言われた
社長 こんにちは。
Aさんのことで相談です。
中川 はい、何でしょうか?
社長 Aさんは5月末で退職します。
自己都合です。
中川 はい。
社長 Aさんが夏の賞与をもらう権利があるから、退職時に支給してくれというのです。
中川 どうして権利があるというのですか?
社長 当社の夏の賞与は10月~3月が算定期間です。
Aさんはその算定期間まるまる在籍していたのだから、もらえるというのです。
中川 いままではどうしていたのですか?
社長 いままでも賞与支給日に在籍している人だけが対象でした。権利があるから賞与を払えと言われたのは初めてです。
中川 で、社長はどうしたいのですか?
社長 Aさんは勤務態度がよくありませんでした。退職願が出たときはホッとしました。だから、Aさんには賞与を払いたくありません。
しかし、Aさんの言うように算定期間まるまる働いていたことは間違いありません。一理あるなぁとも思います。どうなんでしょう?
中川 結論を申し上げます。賞与支給日に在籍していない場合は支給しないでOKです。
賞与は労働基準法に定めがありませんので支給しなくてもよいのです。
仮に賞与支給するとしてもその支給基準は事業主が決定できます。
御社の場合は賞与支給日に在籍していない場合は支給していませんので、支給しなくてもよいのです。
社長 そうなると、Aさんは賞与をもらって退職するといいかねませんね。
退職届を取り消されて賞与支給日まで粘られても困るのですが…。
中川 すでにAさんは退職願を提出し、社長がそれを承諾しています。
したがって、Aさんは5月末での退職が確定しています。だから、賞与支給日まで雇用する義務はありません。
社長 それを聞いたホッとしました。
中川 今後のこともありますから、「賞与は支給日に在籍している場合に支給する」というようなことを規程に記載しておくといいでしょう。
社長 わかりました。
昔は、賞与支給日に在籍していなくても賞与をもらえる権利があるといった判例がありました。
しかし、近年は賞与支給日に在籍していない場合は支払わなくてもよいという判例が多数となりました。現在では、賞与支給日に在籍していない場合は賞与を払わなくてもよいことが通説となっています。
念のために「賞与支給日に在籍していない場合は支給しない」と規程に記載することをお勧めします。
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