労働条件の明示は書面で
社長 こんにちは。
Aさんについて相談です。
中川 はい、なんでしょうか?
社長 Aさんはパートさんです。
時給がおかしいと文句を言ってきたのです。
中川 はい、どんなふうに?
社長 時給900円ということだったが、実際は850円になっている。おかしいというのです。
中川 時給900円で募集したのですか?
社長 はい、求人広告には時給900円として募集しました。
しかし、採用面接の時に試用期間中は850円とし、そのあとの仕事ぶりをみて合格であれば900円にすると説明しました。
それでAさんは納得したのです。それをいまさらおかしいと言われても。
中川 Aさんに渡した雇用通知書か雇用契約書を拝見します。
社長 はぁ?なんですかそれ?
中川 Aさんを採用するときに労働条件を説明したでしょう?
社長 給料は試用期間中は850円とし、合格であれば900円にすると説明しました。
それから、パート就業規則について要点を説明しました。ちゃんとやるべき事をやっていますが?
中川 昔はそれでも通用していました。
しかし、今は、労働条件は書面で示さなければならないのです。書面で示さないから今回のようにもめるのです。
社長 しかし、Aさんは確かに時給850円で承知しました。
中川 では、その証拠を見せてください。
社長 録音をしているわけではありません。証拠と言われても出せるはずがありません。
中川 求人広告では900円と明示していましたね。これは証拠として残っています。
しかし、Aさんが850円で承知したことは証拠がありません。
社長 そこまでいいますか…。
中川 労働契約は一種の契約ですから口頭での契約もOKです。
しかし、口頭だと証拠が残らないのでもめることが多いので国が労働条件は書面で示すようにと決めたのです。書面で示していない御社は分が悪いですよ。
社長 困りましたね。
どうしたらいいですか?
中川 Aさんの誤解を解くしかないでしょう。話し合いで。それでも納得しなければ今回は時給900円にせざるを得ないでしょう。
社長 850円のままとしたらどうなりますか?
中川 Aさん次第ですね。
Aさんが訴えたら会社は確実に負けますよ。証拠は求人広告しかないのですから。
社長 そこまではしたくありませんね。
中川 今後は労働条件を書面で示しましょう。
社長 分かりました。
パートを雇用する場合も労働条件を書面で提示しなければなりません。
それを怠ったことでもめると会社が不利になることが多いです。
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