2ヶ月減給したい
社長 こんにちは。A君には困ったものです。
中川 はい、何でしょう?
社長 上司の業務命令に対して暴行を加えました。それで減給処分を考えています。
中川 そうですね。信賞必罰が基本ですね。
社長 それで今回は1万円の減給処分にしようとしました。
しかし、減給は最大1日の給料の2分の1までとの事ですね。
中川 そのとおりです。
社長 A君は1日の給料は12000円になります。
そうすると6000円までとなります。
で、1万円にまだ4000円不足していますからその分は翌月の給料で減給処分をします。
中川 あのう、それはダメです。
社長 どうしてですか?世間ではローンのように分割払いが普通です。
減給処分も分割で払ってもらいます。
これは違法ではないでしょう?
これを違法というなら世間のローンは全部違法となります。
中川 ローンを持ち出されるとは想定外でした。
懲戒処分は労働基準法が適用されます。
労働基準法が優先します。
社長 労基法にはローンはダメだと書いてあるのですか?
中川 労基法91条には「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」となっています。
社長 だから、分割払いをしてもらうのです。
中川 法律では1回の額とあります。この意味は一事案につきということです。
社長 はあ?
では、どんなに悪いことをしても半額が上限ですか?そんなバカな!
中川 でも、2ヶ月にわたって減給すると違法です。
もし、半額である6000円では不十分であればもっと重い処分をすべきです。
社長 どんな処分ですか?
中川 出勤停止です。
社長 出勤停止した日も半額は払わなければならないのですか?
中川 いいえ、働いていませんから払う必要はありません。
減給は本人が働いた賃金を取り上げることですから法的に制限があるのです。
社長 なるほど。
では、今回は出勤停止にします。
中川 あのう、懲戒処分を安易に変更すべきではありません。減収処分が相当であると決定されたのですから今回はそうすべきです。
懲戒は過去の事例や内容により決めるべきものです。腹立ち紛れに懲戒処分を変更すべきではありません。
社長 わかりました。
減給処分は1回の額が平均賃金の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはなりません。
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