強制できるか?
社長 こんにちは。
Aさんのことで相談します。
中川 はい、なんでしょう?
社長 Aさんが腱鞘炎(けんしょうえん)になりました。それで労災認定をしてもらい、補償ももらっています。
中川 そうですか。
たいへんですね。
社長 ところが、職場復帰をしたと思ったら、症状が悪化したと休むのです。それで、もっと軽易な作業場に異動もしました。
中川 ふーん、困りましたね。
社長 腱鞘炎なので外部からは分かりません。
それをいいことにして、ウソをいっている可能性があります。
楽をして給料をもらおうと。
中川 まあ、疑えばキリがありませんね。
社長 それで、どうしたらいいでしょうか?
中川 会社の指定する病院に精密検査を受けるようにさせたらどうですか?
社長 主治医の診断書はあるのですが。
中川 それが正しいかどうかを確認するためです。
社長 そんなことができるのですか?
中川 就業規則にその旨が記載されていますのでそれを根拠に受診させるのです。
社長 Aさんは口達者なのです。
イヤだとまくしたてられる可能性があります。強制できますか?
中川 できます。就業規則にそう書いてあると言えばいいです。
社長 Aさんは就業規則は見たことがないので知らないと言うかもしれません。
従う義務はないと。
中川 困った人ですね。
それでも強制できます。
社長 どうしてですか?
中川 就業規則は誰でも見ることができるように休憩室においてありますよね。
だから、Aさんは就業規則を知らないとは言えません。
社長 へえ、それでいいのですか?
中川 社長は日本の法律を全部は知らないですよね?でも、違反をしたら罰せられます。
国としては周知しているからです。
社長 たしかに。
就業規則も細かいところまでは誰も知りませんよね。
中川 そうです。
就業規則が違法な内容でなく、合理的であればOKです。
社長 では、Aさんが従わない場合はどうしたらいいですか?
中川 よく話し合うことですね。
会社の指定する病院で受診することを拒否する理由はないはずです。
その点を話せば拒否できないでしょうね。
社長 なるほど。
それでも、拒否するなら?
中川 その場合は就業規則にもとづき懲戒処分をしましょう。
社長 腱鞘炎は、はた目では分からないので困ったものです。
中川 それと腰痛などもそうですね。
本人が痛い痛いと言えば他人には事実かどうかは分かりませんからね。
大勢の中にはこういう従業員もたまにはいます。
本日の記事は
「電電公社帯広局事件 昭和61年)」の判例を参考にしました。
就業規則は周知(休憩所にぶら下げる、社内LANなど)しておりかつ、その内容が合理的であればそれを根拠に従業員に強制や懲戒ができます。
知らなかった、教えてもらっていないは通用しません。
ただし、就業規則を周知していることが条件ですから気をつけてください。
周知とは
1.就業規則を各人に配布する
2.誰でもみることができる状態にしておく(たとえば休憩所にぶら下げる)
3.社内LANでだれでも見ることが出来る
などがあります。
上記のどれかでOKです。(3つ全てする必要はありません)
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