「自社の商品はきっとお客さんの役に立つものなのに、なぜ売れないのか…」
お客さんに支えられて20年続けられているから、きっと役に立つものが作れているという自信はある。けど、見積もりで失注してしまうということもある。
どうしたら欲しがってくれるようになるんだろう問題。
答はドル―・エリック・ホイットマン著の「現代広告の心理技術101」。
ということで、お客さんが物を買う本当の理由の備忘録。
共通する8つの欲求
消費者研究者や消費者心理学者の研究によると、「生命の8つの躍動(Life Force8)」通称LF8と呼ばれている、誰にでも共通する基本的な「欲求」がという結果が出ているそうです。この8つの欲求は強力で、人があらがえないほど大きな影響力があるんだとか。
生命の8つの躍動(Life Force8)
1.生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい
2.食べ物・飲み物を味わいたい
3.恐怖・痛み・危険を免れたい
4.性的に交わりたい
5.快適に暮らしたい
6.他人に勝り世の中に後れを取りたくない
7.愛する人を気遣い、守りたい
8.社会的に認められたい
本の中の事例。
一流大学と一流企業が共同開発した、ダニの侵入を100%予防する枕カバー。
値段はなんと980円。
この条件・この商品でどの部分を訴求すれば一番売れるか問題。
①商品の効能
ダニの侵入を100%防ぐことをアピールする。
②信頼性・権威
一流大学と一流企業が共同開発したことをアピールする。
③価格の安さ
980円という値段の安さをアピールする。
④恐怖や痛みを逃れたい欲求
今の枕にはダニがたくさん潜んでいるという危険性をアピールする。
答えは④、①~③は人間の二次的欲求に働きかけているから。
二次的欲求というのは、次の9つの欲求の事らしい。
人間の9つの後天的(二次的)欲求
1.情報が欲しい
2.好奇心を満たしたい
3.身体や環境を清潔にしたい
4.能率よくありたい
5.便利であってほしい
6.信頼性・質の良さが欲しい
7.美しさと流行を表現したい
8.節約し、利益を上げたい
9.掘り出し物を見つけたい
後天的に身に着けた二次的欲求を満たそうとする衝動は生物学的には起こらない。
LF8の中の「恐怖・痛み・危険を免れたい」という恐怖を取り除いてくれる商品は今すぐ欲しくなる。商品の特徴をアピールするよりも、人が本来持つ心理・感情に働きかける方が刺さる広告になる。とはいえ、恐怖訴求をするのは抵抗があるなぁ…と感じた時は「広告の目的」を考えてみると良いと。
広告の目的は、人に行動を起こさせること。
広告を書くなら、ただ読んでもらうだけでは十分とは言えない。
そのままゴミ箱に捨てられては意味がない。
でも、嘘ついて騙すのはダメ、絶対。
LF8は人が生まれつき持っている、人が抵抗できない欲求。
「人を行動させる」という広告の目的を果たすために、LF8の要素の一つである「恐怖や痛みを避ける」を訴求することをためらう必要はないそうです。
「お客さんはどんな欲求を満たしたいんだろう、LF8に当てはめると何だろう」と考えれば「お客さんが主人公の、願望を叶えるための物語」にさらに一歩近づくはず。
ドル―・エリック・ホイットマン著
「現代広告の心理技術100」/ダイレクト出版