無許可で早朝出勤し、骨折した
社長 こんにちは。
Aさんが骨折しました。
中川 それはお気の毒です。
原因は?
社長 社内です。
中川 であれば労災になる可能性がありますね。
社長 それでどうしらいいのかと。
中川 骨折は仕事中にしたのですよね?
社長 それが、始業時刻の2時間目に出勤したのです。そして、棚から書類を出すために、脚立に上がったところ転落して腕を骨折しました。
しかし、早朝出勤を指示していません。
中川 だから労災にはならないと?
社長 微妙ですよね。
Aさん一人ですから、転落した目撃者もいません。労災として認めてもらえますかね?
中川 Aさんは2時間出勤しなければならない事情があったのですか?
社長 上司が翌朝までに報告書を提出するように指示されたとのことです。終電まで残業をしたが完成しないので、翌日、早朝出勤をして報告書を完成させようとしたと言っています。
中川 であれば、業務命令とも言えます。労災になる可能性が高いでしょう。
社長 だれも目撃した人がいません。
それでもOKですか?
中川 Aさんが嘘をついていると疑っているのですか?
社長 いいえ、Aさんはまじめな社員です。
嘘をつくとは思えませんが、労働基準監督署が労災認定をしてくれるか心配なのです。
中川 正直に申請すればOKです。判断は労働基準監督署が行います。
社長 もし、労災にならなかったらどうしたらいいですか?
中川 不服審査を請求すれば良いです。
社長 そうですか。
分かりました。
労災の条件は
1.業務の遂行性
2.業務の起因性
の二つがそろった場合です。
今回の事例は、上司の指示の仕事を完成させるために、やむなく早朝出勤をしました、上司から早朝出勤をするように指示をしていなかったとしても、実質的には業務命令だと思います。
労災認定される可能性が高いでしょう。
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