もりもり君071【労務管理】

社長　こんにちは。
Ａ子さんについて相談です。

中川　ああ、中途採用した方ですね。

社長　入社当初から体調不調を訴えるのです。そして、遅刻や欠勤が目立つようになりました。

中川　理由はなんですか？

社長　体調不調だというだけです。
注意すると「今度から気をつけます」というだけで、一向に改善されないのです。

中川　厳しく注意することでしょうね。

社長　そうです。
総務部長が直接Ａ子さんに注意をしました。
このままだと、試用期間が満了したら解雇するかもと伝えました。

中川　当然のことですね。

社長　ところが、翌日Ａ子さんが欠勤し、母親から文句の電話がかかってきました。

中川　どんな文句ですか？

社長　Ａ子さんは、体調が悪くてもがんばって出社している。
遅刻をしてでも出社するほどがんばっている。それなのに、会社の態度は理不尽だと。

中川　へえ、遅刻をするのにそのような言い方もあるのですね。

社長　とにかく、文句が尋常ではないのです。
たとえば、遅刻をするならちゃんと連絡がほしいと総務部長が言うと、ああでもない、こうでもないと2倍も3倍も言い返してくるのです。

中川　モンスターペアレントですね。

社長　そうそう。
冷静な話し合いができないのです。しまいには監督署に訴えるというのです。

中川　で、Ａ子さんはその後どうしていますか？

社長　そのまま９月の５連休に入りました。
５連休明けにこの問題を解決しなければなりません。どうしたものでしょう？

中川　この問題は２つ解決しなければなりませんね。
１つは、本人の雇用の問題。
２つは、母親への対応。

社長　そうですね。
本人の雇用問題についてはどう解決しますか？

中川　体調不調が慢性的なのか、一時的なのかを確認しましょう。慢性的であれば、雇用の継続は難しいでしょう。

社長　Ａ子さんが自分に不利なことを言うとは思えません。一時的なものだと言うでしょう。

中川　そう思います。
それで、欠勤した日数、遅刻をした時間数、その連絡方法について記録に取っておきましょう。

社長　欠勤や遅刻は出勤簿を見ればわかります。

中川　そうですね。欠勤や遅刻は無断なのか、事前に届け出ているのかも重要です。
また、事前に届け出ていても、直前なのか前日なのかも大切です。

社長　なるほど。

中川　試用期間中ではありますが、理由もナシに解雇はできません。
それなりの理由の裏付けとするためです。

社長　なるほど。

中川　それから、Ａ子さんの勤務態度なども記録に取りましょう。
また、指導した内容、注意した内容なども記録にとりましょう。
めんどうでしょうが、それが解雇の証拠となることもあります。
解雇は重大は行為です。慎重にすることです。

社長　今のＡ子さんの勤務態度や仕事への取り組みであれば継続したくありません。

中川　そうですか。
つぎに、二つ目の問題です。

社長　母親にたいしてですね。
どうしたらいいでしょう？

中川　自分勝手で理不尽な要求や、立場をわきまえず「自分の思い通りに動かしたい、会社を従わせたい」という裏側には、世の中に対する怒りや不満、挫折感が隠れていることが多いそうです。

社長　死刑になりたいから誰でも良かったと言った殺人事件がありましたね。
あの人は、ニートだったようですね。世の中に対する怒りがそうなったのでしょうね。

中川　かもしれません。こういう母親には、冷静に対応することです。
相手の言動にカチンと来て感情的に対応しがちですが、冷静に。相手の非を責めたてると、火に油を注ぐ状態になります。

中川　会社としてできることと、できないことを明確にし毅然として態度で臨むことです。

社長　監督署に訴えると言っていますが。

中川　好きにさせたらいいですよ。
そのときのためにも、日常行動を記録に取っておくのです。
記録は重要な証拠となります。母親には、言葉を選びながら誠実に対応することです。

社長　うーん。
なかなか難しいことですね。

中川　そうです。
そう簡単ではありません。文句を言わずにいられない親自身の気持ちを受け止めることがポイントです。

社長　そうですか。

中川　商売をしているとクレーマーなるものが一定の確率でおります。
クレーマーは適切に対応すると良き顧客に変身するそうです。

社長　ほんとうですか？

中川　はい、あるデパートの店長から聞きました。クレーマーが出現するとうれしくなると言っていました。

社長　なんで？

中川　適切な対応をすることで、また、良きお客が増えると。