家族手当を3年前からもらっていないと言われた
社長 こんにちは。
Aさんについて相談します。
中川 はい、なんでしょう?
社長 Aさんは3年前に子供が生まれたのですが、家族手当がついていないと総務に問い合わせがありました。それでどうしたものかと困っています。
中川 家族手当の申請はどのようになっていますか?
社長 申請用紙があります。
Aさんはその申請用紙を提出していないのです。それで支給しなかったのです。
中川 なるほど。
御社の賃金規程を拝見します。
うーん。
配偶者に1万円、子に5千円と書いてあるだけですね。
社長 それではダメなのですか?
中川 今回のように家族手当の不支給問題が起きたときに対応が難しくなりますね。
社長 どのように難しくなるのですか?
中川 子供が生まれたのが3年前ですから、それから家族手当をもらう権利があったと言えます。
社長 だけど、Aさんは家族手当の申請をしていなかったのです。落ち度はAさんにあります。
中川 そうとも言えませんよ。
Aさんが今、家族手当を申請したら権利が発生しますよね。そのときに3年間さかのぼることになります。
もっとも、労働基準法では時効が2年ですから、最大2年の権利となりますが。
社長 だけど、Aさんは申請をしていなかったのですから、さかのぼることはないでしょう。申請があった時点からで良いのでは?
中川 御社の賃金規程ではいつの時点から家族手当を支給するかを明確に書かれていません。
賃金規程に家族手当は申請があった月から支給するというように明記されていれば、規程通り申請があった月からでよいですが、賃金規程に不備があるともいえます。
社長 つまり、会社にも落ち度があると…。
中川 そうです。
子供が生まれたら出産祝いや出産手当、健康保険の被扶養保険者の手続きを総務がしています。
つまり、総務は子が生まれた事実を知っていたのですから、家族手当の支給申請をAさんに促(うなが)すべきでした。
社長 そういわれれば総務は何をしていたのだろう。今回の件はどうしたらいいですか?
中川 Aさんにも落ち度があり、会社も落ち度があります。何ヶ月か遡及して家族手当を支給するのがよいでしょう。
社長 Aさんと話し合います。
中川 総務には
1.賃金規程の見直しをすること
2.従業員に心配りをすること
を指示しましょう。
社長 そうですね。
総務は健康保険や年末調整などの手続きをすることで家族の異動を把握できます。家族手当の支給申請がなくても督促をするのが親切な総務です。
総務では当たり前のことでも従業員はそうでないことを前提に考えましょう。
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