3年前の残業代を請求された
社長 こんにちは。
Aさんについて質問です。
中川 はい、なんでしょうか?
社長 Aさんは3年前に退職しました。
先日、突然会社に来て、3年前の残業代を請求してきました。
中川 そうですか。
それでどうしましたか?
社長 たしかにAさんのいうとおり、残業代が未払でした。
しかし、本人が勝手にやった残業だったから払っていなかったのです。それを今更言われても…。
中川 では、払わなかったのですね?
社長 本人が勝手にやった残業だといっても、残業をしているのは事実ですから払うと約束しました。
中川 それで御相談とは?
社長 その後、残業代を払っていない場合は2年間はさかのぼって払わなければならないということを知りました。
3年前の残業代は払わなくてもよいのですね。そのことを知っていれば払う約束はしなかったのですが。
中川 賃金の請求権は時効が2年です。
したがって、2年を経過したら残業代を払わなくてもよいのです。
社長 そんなことは知りませんでした。
時効が2年なのですから、Aさんに残業代を払わなくてもよいですよね?
中川 残念ですが、Aさんに約束した残業代を払わなければなりません。
社長 しかし、労働基準法では時効が2年と書いてあるのでしょう?
中川 そのとおりです。
Aさんが会社に来たときに時効だから払わないと言えば良かったのです。時効を知らなかったとしてもAさんに約束しているのですから、それは払わなければなりません。
社長 だけど、時効は2年なのでしょう?
中川 しかし、3年前の残業代を払うと約束をしたのですから時効よりも約束した方が強いのです。
社長 ええ、そうなんですか。
失敗したなぁ…。
賃金の請求は時効2年です。残業未払の場合、最大2年間さかのぼって払わなければなりません。逆にいいますと、2年を超える残業未払は時効成立で払わなくても違法ではありません。
しかし、2年を超える残業未払の請求があり、それを払うと約束した場合はその約束が優先されます。
残業未払の遡及払いは最大2年間ですが、話し合いで決めることができ、3ヶ月とか6ヶ月分を払うことで決着することも少なくありません。
参考までに。
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